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大分市わさだの小児科クリニック

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空白インフルエンザについて(2018/19シーズン) 

※2018/10/04作成
※2018/11/05更新

インフルエンザワクチン

2015/16シーズンにそれまでの3価ワクチン(A型2種、B型1種)から、4価ワクチン(A型2種、B型2種)へと変更になりました。A型は2種類の型(A/H1N1とA/H3N2)の2種類で、B型は型は1つですが2系統(山形系統とビクトリア系統)の株が取り入れられています。流行状況によってワクチンに使用される株は毎年変えられています。今シーズンのワクチン株は次の通りです。

A/Singapore/GP1908/2015 (IVR-180)(H1N1)pdm09
A/Singapore/INF1MH-16-0019/2016 (IVR-186)(H3N2)
B/Phuket/3073/2013 (山形系統)
B/Maryland/15/2016 (NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)

インフルエンザワクチンは生後6か月から接種できます
●6か月~3歳未満 1回0.25mL 2~4週間の間隔をあけて2回
●3歳~13歳未満  1回0.5mL   2~4週間の間隔をあけて2回
●13歳以上    1回0.5mL   1回


今年度の当院での接種期間は2018年10月1日から2019年1月31日までで、接種料金は1回目4,000円 2回目3,500円です(他院で1回目を接種して当院で2回目の場合は4,000円となります)。
おおいた子育てほっとクーポンがご利用いただけます。また由布市の助成も当院でご利用いただけます。

予診票は下記PDFをA4サイズで印刷して利用していただいてもかまいません(高齢者の定期接種の予診票は別になります)。
 → インフルエンザ予診票(PDF)


インフルエンザウイルス

 インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、流行するのはA型とB型です。A型とB型のウイルス粒子表面にはHAとNAという2つの抗原があり、特にA型ではHAに15種類、NAに9種類の抗原性の異なる亜型が存在して、その組み合わせによってヒトだけでなくトリやブタや他のさまざまな宿主に分布しています。
 現在ヒトに流行しているのはA型のH3N1とH1N1、それにB型の3種類ですが、抗原性が変化することで大きな流行となります。抗原変異には大きく2つあり、一つは不連続抗原変異と呼ばれるもので、例えば鳥インフルエンザがヒトに感染するようになって亜型そのものが変化してしまうと、パンデミックという重篤で大規模な流行となる可能性が高くなります。
 十数年前からH5N1型の鳥インフルエンザがヒトで流行して新型になるのではと心配されていましたが、この数年はH7N9型の鳥インフルエンザの方が急増しており、新型発生が危惧されています。
 もう一つの抗原変異は、亜型はそのままでも抗原性が少しずつ変化していくことが知られていて、これを連続抗原変異といいます。
 もし変異ということがなければ、ヒトにはウイルスに対しての免疫ができてくるので、やがてインフルエンザにかからなくなったり軽症化していくと思われますが、この連続変異が頻繁に起こっているために毎年流行を繰り返すのです。

インフルエンザの症状

 一般的にはインフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間のあとに、発熱(多くは高熱)、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛・関節痛などが現れ、咳、鼻汁などの風邪症状が次いで出現し、およそ1週間ほどの経過で軽快していきます。
 最近は早期に診断・治療されて、比較的軽症に経過することも多いのですが、いわゆる普通の「かぜ」よりも全身症状が強いのがインフルエンザの特徴です。特に高齢者や慢性疾患のある人、免疫能が低下している人などは重篤化しやすいので注意が必要です。
 小児では中耳炎や肺炎、気管支喘息、熱性けいれんなどを伴ったり、インフルエンザ脳炎・脳症という重症な合併症を引き起こすことがあります。厚生労働省の調査では毎年50~200人のインフルエンザ脳症患者が報告されているそうです。
 また小児ではインフルエンザの高熱時に熱せん妄といわれる異常行動がみられることがあります。これは睡眠中などに急に起き上がって歩き回ったり、意味不明のことを言ったりするものですが、以前からインフルエンザの時には多いことが知られていました。薬を使用した後でも同じことが起こるので、一時期は薬の副作用だと騒がれました。しかし今では薬との因果関係はほぼ否定されています。こういった異常行動も時にはベランダから飛び降りたりするなど危険なことがあるので注意が必要です。通常の熱せん妄であれば一過性で、覚醒してしまえば普通に戻っていますが、長く続く場合は脳症などを疑う必要があります。

インフルエンザの診断

 かつては症状と診察所見だけで診断されることが多く、確定診断は血液検査で血清抗体価などを測定しなければできませんでした。今は外来で5~10分前後で診断できるインフルエンザ抗原検出キットが使用されることが多くなっています。
 しかしインフルエンザと診断するために、この検査が陽性であるということが絶対的なものではありません。流行状況や症状、診察所見などから、検査をしなくてもインフルエンザと診断できることも多くあります。臨床的にはそれで充分です。
 逆に検査には偽陽性ということがありますので、検査が陽性であってもインフルエンザでないこともありえます(それを一般外来で確定することは困難ですが)。検査はあくまでも診断のための補助的なものとして上手に利用していけばとても有用なものです。しかしこうしてせっかく外来で手軽に検査ができるようになったのに、検査を絶対視するあまりにかえって混乱をきたしていることも事実です。例えば微熱だけで他に何も症状がなくても検査で陰性を確認しなければ保育園の登園を認めないとか、そういう適切とはいえないことが起こってきています。
 検査のために鼻腔に綿棒を入れたり、鼻汁を吸引したりすることは大人でも嫌なものですが、子どもにとってはさらに苦痛を伴うものです。それでも検査をするのは必要があるからであって、不必要な状況でするのであれば虐待していることと変わりありません。
 一般的に抗原検査はある程度インフルエンザウイルスが増殖してこないと検出できないので、発熱してから数時間から半日くらい経過しないと、インフルエンザであっても検査は陽性となりません。当院では今年度から検査の自動判定装置を採用して、比較的発症後間もない時には利用する予定ですが、これも少し感度が上がる程度のものと考えてください(装置が一台しかなくて判定に15分かかりますので、全例には用いず必要と判断した場合にのみ使用します)。全身状態が悪くなければ、受診するタイミングも少し考慮していただけるといいかと思います。
 また、保険診療の中で診療を行う以上はそのルールに則る必要があります。地域差はあるようですが、大分ではインフルエンザ検査は発症後48時間以内に2回までしか認められていません。48時間というのは投薬できるかどうかということからのようです。流行拡散を防ぐ意味でも48時間過ぎてから診断確定することにも意義はあると思われますが、残念ながら保険診療上は認められていないのです。すでに治療を開始した後の検査というのも、治療によってウイルスの増殖が抑えられているので検査をする意味はあまりありません。
 さらに特に職場などからインフルエンザでないという証明を求められることがあります。しかし、検査は100%の陽性率ではありませんので、検査が陰性だからインフルエンザではないということは言えません。今年度の厚労省公式サイトの「インフルエンザQ&A」には以下の文章を追加されることになりました。

Q インフルエンザにり患した従業員が復帰する際に、職場には治癒証明書や陰性証明書を提出させる必要がありますか?

A 診断や治癒の判断は、診察に当たった医師が身体症状や検査結果等を総合して医学的知見に基づいて行うものです。インフルエンザの陰性を証明することが一般的に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくありません。
(2018年9月27日 第26回厚生科学審議会感染症部会報告資料)

インフルエンザの治療

 それまでは対症療法が主体でしたが、1998年にアマンタジンという抗インフルエンザ薬が用いられるようになってから、現在ではインフルエンザと診断されれば抗インフルエンザ薬を投与することが治療の中心となっています。
 しかし、インフルエンザは抗インフルエンザ薬で治療しなければ治らないという病気ではありません。多くの場合は自然経過でも5日前後で熱が下がり、ほかの風邪症状も1週間程度で軽快します。すべての例で治療薬が必要なわけではないので、インフルエンザと診断されたときに本当に抗インフルエンザ薬が必要かどうか主治医の先生とよく相談してから決めましょう。
 現在抗インフルエンザ薬として使用されているのは主に5つあります。

タミフル(オセルタミビル):ノイラミニダーゼ阻害薬
 内服薬で1日2回で5日間内服します。カプセル剤と粉薬(ドライシロップ)の2剤形があります。昨年までは10代の人には使用を控えるように通達がありましたが、今年度は取り消されました。
リレンザ(ザナミビル):ノイラミニダーゼ阻害薬
 吸入薬で1日2回で5日間使用します。
イナビル(ラニナミビル):ノイラミニダーゼ阻害薬
 吸入薬で1回使用するのみです。
ラピアクタ(ペラミビル):ノイラミニダーゼ阻害薬
 点滴注射薬。1回の投与のみで通常15分で点滴します。入院患者や内服や吸入が困難な人などに使用されます。
ゾフルーザ(パロキサビル):キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性阻害
 今年発売された新しい抗インフルエンザ薬。錠剤で1回内服投与するのみです。体重10kg以上で錠剤が内服できれば使用可能です。顆粒製剤も発売される予定です。

 いずれもウイルスの増殖を抑えることが作用機序の中心ですので、ウイルスが増殖する初期にしか効果は望めません(通常は発症後48時間以内)。上記を見てわかるようにゾフルーザは今までの抗インフルエンザ薬と作用機序は異なっています。症状の改善度は他の薬と同等のようですが、ウイルスの減り方がゾフルーザのほうがより大きいそうです。内服薬で1回で済むことから、錠剤が内服可能な人には今シーズンの治療薬の選択の中心はゾフルーザになりそうです。

 治療薬以外にも、安静や栄養、水分補給ということももちろん大切です。解熱剤は不必要に使いすぎないようにしましょう。インフルエンザの場合はアセトアミノフェン(アンヒバ坐薬やカロナールなど)以外の解熱剤は小児では使用しないほうがいいでしょう。先に述べた熱せん妄のこともありますので、子どもを一人で寝かせない、戸建ての場合は1階で寝かせるなどの配慮も必要です。

学校保健安全法によるインフルエンザの取り扱い

 インフルエンザは第2種の感染症に定められており、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止とされています。「発症した後5日」というのは発症した日(発熱した日)を0日として翌日から5日間休ませる必要があります。「解熱した後2日」も同様で解熱した日が0日で翌日から2日間休ませます。


インフルエンザ出席停止期間(小学生以上)

インフルエンザ出席停止期間小学生以上


インフルエンザ出席停止期間(保育園・幼稚園)

インフルエンザ出席停止期間幼児

医師の判断によって変わることもありますので、必ず主治医の先生にご確認ください。


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